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SLE専門医と
患者さんの対談
Vol.2

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全身性エリテマトーデス(SLE)専門医と患者さんのダイアローグ SLEの症状と医師とのコミュニケーションの大切さ 聖マリアンナ医科大学病院 リウマチ・膠原病・アレルギー内科 教授 川畑仁人先生 × (仮名)石田昌子さん

2021年10月、オンラインにて取材

2005年にSLE(全身性エリテマトーデス)を発症した石田さん。同年に緊急入院されましたが、現在は症状も安定し、仕事や趣味にも取り組んでいらっしゃいます。
安定した生活を送っている今でも、時折、皮膚症状や倦怠感などSLE特有の症状に悩むことがあるそうですが、
先生やお友達の励ましで、不安が和らぎ、勇気付けられ、治療を続けられているそうです。
主治医の川畑仁人先生と石田さんに、SLE患者さんが特に気になる症状と、コミュニケーションが患者さんや治療に及ぼす影響についてお話を伺いました。

緊急入院までの症状

  • 石田さん:

    “海外旅行から帰国後しばらくして症状が悪化しました”

  • 川畑先生:

    “SLE再燃のタイミングや原因は、個々の患者さんによって異なります”

石田さんは2005年にSLEの症状が悪化して緊急入院されたと伺いました。その時の様子を教えてください。

石田SLEと診断された直後だったのですが、担当医師の了承をもらった上で、6月に海外旅行に出かけました。行先が紫外線量の多い場所だったこともあり、日傘や日焼け止めクリームなどで対策をして、十分注意していました。帰国後しばらくは問題なく生活していましたが、6月末に急にひどい関節痛や筋肉痛があらわれてきました。次第に歩くことや起き上がることも難しくなり、食べ物を飲み込むことにも苦労するようになってきたのです。病院へ連絡して外来を受診したところ緊急入院となりました。この時から川畑先生に診療していただくようになりました。

(仮名)石田昌子さん

川畑先生、何かのきっかけでSLEの症状が悪化することは、よくあるのでしょうか?

川畑紫外線を浴びることは、症状悪化の原因の一つとしてよく知られています1)。紫外線を浴びた後、すぐに症状があらわれる場合もあれば、石田さんのように時間を経て悪化する場合もあります。他にも、感染症や妊娠・出産など、さまざまな要因がSLEの症状を悪化させるきっかけになりうるといわれていますが、個人差も大きいです。一方で、原因が不明な場合も、実際には多々あります。

SLEの皮膚症状

  • 石田さん:

    “外見の変化について言われた何気ない言葉に傷付くこともありました”

  • 川畑先生:

    “皮膚症状は、それぞれの患者さんに合わせた治療が必要です”

SLEの症状の中で、特に石田さんがつらかった症状はありますか。

石田外見が変わってしまう症状です。具体的には、脱毛や蝶形紅斑などです。特に入院時は脱毛がひどく、ドライヤーの風で髪がまとまって抜けることもありました。退院後も毛量がかなり減って気になりました。たまたま当時おしゃれなウィッグが流行していたので、ウィッグを着けて外出することに抵抗はありませんでしたが、自身がSLEであることは周囲になかなか言えませんでした。私の病気を知らない人に「髪をすごく梳いたんだね」と言われ、内心傷付くというようなこともよくありました。

聖マリアンナ医科大学病院 リウマチ・膠原病・アレルギー内科 教授 川畑仁人先生

川畑皮膚症状は、SLEによってあらわれるほか、治療やSLEとは関係のない皮膚疾患を合併する場合もあり、一人ひとりの患者さんの症状に合わせた治療が必要です。SLEによる皮膚や粘膜の症状としては、蝶形紅斑、円板状皮疹、凍瘡様皮疹、光線過敏症、口腔内潰瘍などがあります。外見に症状があらわれる場合は、気持ちの上でも大変つらい思いをされていると思います。

SLEによる倦怠感

  • 石田さん:

    “常に倦怠感がありますが、SLEによる疲れなのかどうか、把握しづらいです”

  • 川畑先生:

    “倦怠感は、SLEの状態を知る上でとても重要な物差しです”

石田さんは現在お仕事も続けられていますが、体調はいかがですか?

石田これまでに数回、再燃を経験していますが、今は落ち着いています。ただ疲れやすくて、常に倦怠感があります。「だるさ」は誰にでもあることですが、普通の「だるさ」がわからないので、それが疲れによるものか、SLEによるものかわかりにくいですね。少し説明が難しいのですが、倦怠感を強く感じる時は筋肉痛や関節痛、頭痛もあり、起きているのがつらくて横になりたいと感じます。日常的な倦怠感は、疲れが取れずに、朝起きた時から「ああ、疲れた」という状態です。

川畑石田さんにもよくお話しすることですが、休んでも回復しない疲れ、特に朝から感じる疲労は、お仕事等による疲労とは異なる、病気に関連した症状の可能性も考えます。

川畑先生、実際に倦怠感で悩んでいる患者さんは多いのでしょうか?

川畑倦怠感はSLE患者さんの67~90%2)の方にみられるという報告もあり、SLEにおいてよくみられる症状の一つです。SLEの状態を知る上でも、皮膚や腎臓、血液など各臓器の状態と同じように、倦怠感も重要な物差しだと考えられています。しかし、倦怠感の要因はさまざまで、診断は大変難しいのです。日常生活上の要因以外に、SLEの悪化に伴う場合もあります。例えば、いろいろな病気が合併症として関連する場合や、治療のためのお薬が影響を及ぼすこともあります。また広く健康状態という面で、喫煙習慣や肥満などの関連もあるといわれています2)
このため、患者さん一人ひとりに合ったアプローチで、経過をみていく必要があります。原因を探り、できるだけ早い段階で治療を開始し、必要に応じて禁煙や運動など、患者さん自身に日常生活の改善をお願いすることもあります。

先生やお友達に支えられた「励ましの言葉」

  • 石田さん:

    “先生や友人の温かい励ましの言葉に、勇気付けられました”

  • 川畑先生:

    “患者さんに治療の全体像を伝えて共有し、希望や目標を叶えるためにサポートしたい”

石田さんは入院時、どのようなお気持ちでしたか?その後、変化はありましたか?

石田私は入院自体が初めての経験で、さらに3ヵ月間にも及ぶと聞き、最初は不安しかありませんでした。でも、相部屋の方たちが同じSLE患者さんで、自分と同じ病気とは思えないほど明るく元気そうだったので、少し安心したのを覚えています。そして川畑先生が「今はつらいかもしれないけれど、いつか笑って話せる時がくるから」と言ってくださったことが心からうれしかったです。この先どうなってしまうのだろう、と未来が想像できない時だったので、とても救われた気持ちになりました。そして数年後、先生の言葉通り「あの時はね」と笑って話せる時が本当にきたんです。先生には感謝の気持ちでいっぱいです。

川畑先生は、普段患者さんにどのようにお声がけされていますか?

川畑病状が急激に悪化した際、病気の全体像がつかめないため、患者さんは自身が直面している現状が「すべて」になってしまいます。さらにその先の見通しが立たないと、よりつらく感じます。そのため、今のつらい状況が過ぎた後にどうなるか、お話しすることが大切だと考えています。石田さんの場合、入院中に寛解導入をめざし、外来では主に寛解維持の治療になるので、今の時期を一緒に乗り越えていこうという考えでお話ししました。

石田川畑先生のお話を聞いて、前向きな気持ちになり、入院生活も少しずつ楽しめるようになっていきました。外来に移行した今も、ちょっとした体調の変化や不安について先生に相談しますが、話を聞いていただくだけでも安心します。現在、症状が安定しているのは先生のおかげです。先生、これからもどうぞよろしくお願いいたします。

川畑先生が患者さんとの信頼関係を築く上で、大切にされていることはありますか?

川畑患者さんの生活が治療中心になっていくのではなく、行いたかった生活や活動ができるだけ達成できるように、さまざまな選択や過程に関わり、サポートしていきたいと考えています。病気の影響を最小限にし、これからの送りたい社会生活が達成できるよう、患者さんと医師、メディカルスタッフ間の信頼関係のもと、一緒に治療を続けていきたいですね。

石田さんは身近なお友達に、SLEのことを話されていますか?

石田はい。体調が良い時は病気の話はほとんどしませんが、体調が悪い時や、何か変化があった時は気兼ねなく話せる友人に話すようにしています。

SLEと共に過ごしていく日々の中でうれしかった思い出はありますか?

石田友人からの言葉で、「自分がつらい時は、周りに気を遣わなくていいんだよ」「良くなることだけを考えて」という言葉は、うれしくて忘れられません。そして「あなたの応援団長になるよ」と言ってもらったことも、とても勇気付けられました。

本日は、ありがとうございました。

  • 1)
    橋本博史:全身性エリテマトーデス臨床マニュアル第3版. 日本医事新報社. 2017.
  • 2)
    Mertz P, et al. Lupus Sci Med 2020:e000441.
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