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- 女性のSLE専門医からのメッセージ③
2023年8月、ザ・プリンス さくらタワー東京にて取材
慢性の経過をたどる全身性エリテマトーデス(SLE)。
SLEでは、長きにわたり定期的な受診や服薬が必要になるため、医師と患者さんが十分なコミュニケーションを図り、
疑問や悩み・不安などをいつでも話せる関係を築くことが大切です。
SLE診療に携わっている4名の女性専門医に、患者さんが自ら言い出しにくい倦怠感などの症状を聞き出すための
コミュニケーションのポイントについてお話しいただきました。
患者さんとのコミュニケーション
皮膚症状や関節痛などは医師が定期的に評価しているSLE症状であるのに対し、疲れや倦怠感といった症状は患者さんが懸念しているほど医師が評価していないと報告されています(図)1)。実際、先生方は患者さんが伝えにくい倦怠感などの症状について、どのようにコミュニケーションを図って聞き出すようにしていますか?
橋本周囲から怠慢だと思われているのは自分のせいだと思っている患者さんも多く、そのことが倦怠感について自分から言い出せない理由になっていると思います。倦怠感はほとんどの患者さんが抱えている症状であるため、関節痛、脱毛、口内炎などとともに、倦怠感の有無についても私は患者さんにお聞きしています。そして、倦怠感は病気の影響もあることを伝え、“治す”より“付き合う”ことが大切であるとお話ししています。
和田SLEの患者さんは、明らかな症状、臓器の障害、血液検査の数値異常などがなくても、一般の人より倦怠感が出やすいことを理解していただくようにしています。倦怠感に対する特効薬はないため、症状が続いている時は、しっかり身体を休めるようにお伝えしています。また運動習慣についてもお聞きし、全く運動をしていない患者さんには、日々の生活の中でストレッチなどを行って身体を動かすことを勧めています。
脇谷倦怠感は、一般の人でも感じる症状であるため軽く捉えられがちですが、SLEの重要な症状の1つであることを患者さんに知っていただきたいと思います。倦怠感の原因として治療薬の影響も考えられるため、倦怠感の程度によっては、治療を変更するタイミングかもしれません。私たち医師も、患者さんに倦怠感の有無や程度をしっかり聞く必要がありますが、同時に、倦怠感があれば患者さんからも積極的にお話しいただきたいと思います。
脱毛などの女性患者さんが気にしていても自ら言いにくい症状については、どのように尋ねていますか?
高桑脱毛に関しては、気にしていても言い出しにくい患者さんが多いと思います。私は、診察時に髪の毛をみて少し気になる患者さんに対しては、こちらから正直にお聞きし、治療をどうするかご相談するようにしています。また、患者さんの中には薬剤の影響から月経周期が乱れてしまう方もいらっしゃいますが、この症状も患者さんからは相談しにくいのではないかと思います。月経周期の乱れは不妊につながる可能性もあるため、こちらから確認することが重要だと思います。
脇谷私も脱毛や月経については定期的に確認しています。このような症状について、患者さんが自ら言い出すことはなかなか難しいと思いますが、お話しいただければきちんと相談に応じることができるので、気になっていらっしゃる方は躊躇わずにお伝えいただきたいと思います。
高桑日常診療を行っていると、皮膚症状を隠すため、普段より濃いお化粧をされて受診される患者さんがいらっしゃいます。そのような患者さんを見かけた際、私は積極的に皮疹や紅斑の有無などを確認しますが、医師によっては気が付かないこともあると思いますので、皮膚症状が悪化しているような場合も隠さずお話しいただきたいと思います。
脇谷私は診察の最後に、「聞きたいことはありませんか」、「気になることはありませんか」と必ず尋ねるようにしています。患者さんの不安が少しでも解消され、前向きな気持ちで病気と付き合っていただきたいと考えるのはどの医師も同じだと思いますので、悩んでいることなどがあれば、診察の際にいつでもご相談いただきたいと思います。
和田患者さんによっては診察の中でなかなか医師に相談できない、相談しにくいケースもあるかと思います。その場合には看護師などにご相談いただければ医師に伝えてもらえるかと思いますので、是非一人で悩まずに私たちと一緒にSLE治療に取り組んでいただければと思います。
本日は、ありがとうございました。